ちょっと待った!外国人クライアントと日本語の印刷物をデザインする時の注意点
突然ですが、最近こういう方とお仕事をする機会が増えてきています。
- クライアントに頼まれて、急に日本語のデザインが必要になった人
- 日本語は少し話せるけど細かいニュアンスは英語で説明したいし、日本向けのデザインアドバイスも欲しい人
- 国際規模の会社で、たまたま日本語版のデザイン担当になった人
こういった外国人クライアントのために仕事する際、日本人同士の仕事では気にしなくていいことにも気をつけないと、後から大変なことに!自分のための覚え書きもかねて、まとめておこうと思います。
考え方の違いから起こるトラブルも、これを読めば大部分が未然に防げるはず…!
では、早速みていきましょう。
ちょっと待った!外国人クライアントと日本語の印刷物をデザインする時の注意点
外国人クライアントと日本語の印刷物をデザインする時は、自分の常識を相手が知らないことを前提に、注意してプロジェクトを進めることが大切です。
▼こちらの記事では外国のクライアントと仕事を進める際の注意点をまとめています。この記事とあわせて読むのがオススメです。
フォントの注意点
最大の難関の一つがフォントです。
Adobe Fontsが確実&安心
「フォントって何を使えばいいの?相手はもちろん日本語フォントに関する知識なんてないよね…?」
そんな時に無難な選択肢はAdobe Fonts。
- フォントは全て商用利用可能
- ベーシックから個性的なものまで、日本語フォントが充実
- 海外のアドビサブスクリプションでも日本語フォントが使える
アドビのどのサブスクリプションプランに加入していても、Adobe Fontsが使えます。海外のクライアントとデータを共有する際に悩ましいフォント問題も、Adobe Fontsを使えば安心
相手の環境にインストールされている、またはクライアントに送信できるフォントを使うことが前提
まず、相手のパソコン環境をチェックしてください。WindowsとMacでは、あらかじめインストールされている日本語書体が違います。
最終データ納品時に「フォントにアウトラインがかかってないデータ」を求められることがあります。そうなるとフォントファイルも送信しないといけません。その時に、第三者に送信できないモリサワフォントなどの有料フォントを使っていたら…大変なことになります。
ちなみにモリサワのよくある質問ページ「海外から購入できますか?」には以下の制限事項が記されています。
その他制限事項
他に、日本国外で弊社のフォントをご利用いただく際に以下の点を承諾願います。
・ 製品はすべてオンライン認証システムを採用しております。ご利用にはインターネットの接続環境が必須です。
・ インストールには日本語版のWindows、またはMac OSが必要です。
(他言語のOSではご使用いただけません)
・ 製品は日本語のみで説明しております。
(ユーザガイド、インストールウィザードなどもすべて日本語で表記しています)
・ 日本国外でのご利用に際して問題が発生しても、弊社ではユーザサポートの保証をさせていいただくことができません。
ユーザーサポートなどは日本語以外対応していないようですね。日本語が話せないクライアントは日本語版のOSを使っていないはずなので、送ったところで使えるかどうかもわかりません。
どうしても他者に送信できないフォントを使いたければ、アウトライン化してもいいか確認してからにしましょう。
ドキュメントサイズの注意点
国によってドキュメントの標準サイズが違う
アメリカではUSレターサイズ、日本ではA4サイズが一般的な書類サイズ。同じ制作物でも、国によってサイズを変えなければいけないかもしれません。名刺やポストカードなども標準サイズが違うケースが多いです。
サイズと制作物がどこでどのように使われるのかを、クライアントに確認してからデザインしましょう。
単位が違う
国によって単位が違うこともあります。ポイント・インチ・フィートなど、アメリカはほとんど全部の単位が日本と違います。打ち合わせ時にどの単位を使って話を進めるか、事前に決めておくといいでしょう。
英語デザイン→日本語デザインの注意点
グローバルに展開している企業の場合、日本語のデザインもガイドラインに従う必要があります。英語版のデザインデータが支給され、英語部分を日本語に変更して微調整するだけの仕事もあります。しかし、そんな時にも注意点があるので一つ一つ見て行きましょう。
日本語化が難しいデザインの場合は、日本語を加える方向で
英語で完成されたデザインを日本語にそっくりそのまま置き換えるのは、無理がある時も。その場合は無理して変えず、そばに小さく日本語訳をたした方がいいでしょう。
どこまでローカライズ(現地のデザインに合わせる)するか、最初に決める
日本語版のデザインをするといっても、プロジェクトによって目的は様々。基準のデザインと変わらないテイストを求められたり、逆にガイドラインと多少ずれていても、現地で受け入れられるデザインを提案する必要があります。ガイドラインに沿ってデザインしようとしても、イレギュラーにせざるを得ない場合もあるでしょう。
私なら、デザインをどこまでガイドラインに合わせるか事前に確認し、日本語版だけデザインを変えたい場合は理由も説明します。
もし以前から日本語の印刷物を作っているクライアントなら、過去のデータを見せてもらえるようお願いしてみましょう。
- 英語版と日本語版のデザインの違い
- 使用フォント
がわかるだけでも、ずいぶん仕事がしやすくなるはずです。
英語テキストの設定のママで日本語のテキストを流し込むと行間が詰まって見える
これはアルファベットと日本語の文字の違いによるものです。
では、どうやって解決したらいいでしょうか?
- 行間を広くする
- 文字の大きさを小さくする、または大きくする(文章量によって変わります)
- 1と2の合わせ技
- 一行あたりの長さを長くする、または短くする
ほとんどの場合、解決法3までで解決できるはずです。4は3まで試したあとに試してみてください。
英語は左揃えが基本。日本語は均等割り
日本語のテキストを英語のテキストと差し替えただけだと、揃えの設定が異なるので行末が不ぞろいになります。
日本語のテキストにしたら、揃えを忘れずに「均等割り」にしましょう!
組版についてもっと詳しく知りたい方はこの英中韓組版ルールブックのダウンロードをオススメします。166ページとボリュームたっぷり!
https://twitter.com/Morisawa_JP/status/975568808055369728
さいごに&まとめ
日本語のわからないクライアントと一緒に日本語版のデザインワークを進めて行くのは、正直大変です。でも、うまくいった時は日本人の2倍は褒めてくれるし、日本語だけで仕事をする時と比べて、仕事のチャンスが何倍にも広がりますよ!
英語のメールやメッセージに不安がある方は、Grammarlyがオススメ。スペルミスを気にしなくていいので、メッセージをいつもより早く書くことができますよ。